【和菓子マナーの基本】黒文字と懐紙の正しい使い方|生菓子・どら焼きの食べ方
和菓子を楽しむ際、その美しさだけでなく、一緒に添えられた黒文字や懐紙の使い方にも、日本の美しいマナーが詰まっています。
これらの道具や作法を知ることで、あなたはさらに洗練された和菓子の時間を過ごせるようになります。
今回は、「和菓子は好きだけど、正しい食べ方が分からない」という方のために、
基本の道具の使い方、生菓子やどら焼きといった種類ごとの食べ方、和菓子をより楽しむためのマナーをご紹介します。
和菓子の基本を知ろう|黒文字と懐紙について
和菓子とセットで供される黒文字と懐紙は、お茶席だけでなく、日々の贈答シーンにおいても、心遣いを伝える重要な役割を果たします。
これらの道具を正しく使いこなすことで、和菓子をさらに美味しく、美しくいただくことができます。
黒文字とは?

黒文字は、和菓子を切ったり、刺したりして食べるために使う楊枝のことです。
一般のプラスチック楊枝とは異なり、クロモジという独特の香りがする木材から作られることが多いため、この名前で呼ばれます。
黒文字が菓子皿に添えられていたら、まず先端を左側に向けて置くのが美しいマナーです。
使用する際は、利き手で持ち、生菓子などを一口大に静かに切ってからいただきます。
食べ終わった後は、使用した部分を懐紙で軽く拭き取り、清潔に保って元の場所に戻すか、懐紙の上に静かに置くのがスマートな作法です。
懐紙とは?

懐紙は、和紙を折り畳んだもので、文字通り懐に入れて持ち運べるものです。
この懐紙は非常に多機能で、和の作法においては必須の道具です。
主な役割としては、まず菓子皿の代わりとなります。銘々皿がない場合や、大きな和菓子を分ける際に受け皿として使われます。
次に、口元や手を拭くためのナプキンの役割も果たします。
そして、最も重要な使い方の一つが、食べ残しや使用済みの黒文字を包んで持ち帰ることです。
懐紙を広げる際は、折り目を手前にして使い、汚れが外側に出ないように工夫しましょう。
生菓子(饅頭、団子、どら焼きなど)の正しい食べ方
和菓子の種類によって、最適な食べ方は異なります。
その違いを知ることで、和菓子一つ一つに込められた美意識を理解できるようになります。
練り切りや上生菓子の食べ方
四季の風情を表現した上生菓子や練り切りは、黒文字の出番です。
その美しさを楽しみながら、切り分けていただきます。
まず、黒文字を使い、和菓子を皿の縁にそっと押し付けながら、一口大に静かに切り分けます。
このとき、和菓子全体を切り崩さずに、食べる分だけを切り出すのがポイントです。
小さく切った和菓子を黒文字で刺して、そのまま口に運びます。
上生菓子は指でつまむと形が崩れてしまうため、黒文字を使って優雅にいただくのが美しい作法です。
饅頭・どら焼き・団子の食べ方
饅頭やどら焼き、団子といった比較的大ぶりな和菓子は、必ずしも黒文字が必要ではありませんが、上品にいただく工夫が必要です。
どら焼きや饅頭は、手で持って食べても構いませんが、口元を懐紙で軽く隠すと、より上品な印象を与えます。
半分に割って、懐紙の上でいただくのが一般的です。黒文字が添えられている場合は、それを使って切り分けることで、
手を汚さずにスマートに食べることができます。
串に刺さった団子は、串から外さずにそのまま食べるのが正しい作法です。
和菓子をもっと楽しむための基本マナー
心を込めて作られた和菓子と、それを用意してくれた相手への敬意を示すためのマナーです。
お茶と和菓子の提供順序
和菓子は、お茶をいただく前に先に口に運ぶのが一般的な作法です。
これは、お茶の風味を最も良い状態で楽しむために、先に甘いもので口の中を整えるという目的があります。
お客様へ和菓子を出す際は、まず和菓子を先に提供し、そのあとでお茶を出すのが基本です。
菓子皿(銘々皿)の扱い方
お客様へ和菓子を出す際は、菓子皿の正面が相手に向くようにして差し出します。
お茶は、和菓子の右側に静かに置くのがマナーです。
お客様側は、和菓子が置かれた皿を両手で丁寧に持ち上げ、一度自分の前に引き寄せてからいただくようにしましょう。
持ち帰り方と辞退の仕方
食べきれなかった和菓子は、残さずに懐紙に包んで持ち帰るのがスマートです。
この際、懐紙で丁寧に見えないように包み、バッグなどにそっとしまいます。
また、アレルギーなどでどうしても食べられない場合は、正直に理由を伝えた上で、後で包んで持ち帰るという形にするのが望ましいです。
和菓子とお茶のペア

和菓子は、お茶と合わせることで、魅力が引き立ちます。
抹茶は、その強い苦みと和菓子の甘みが最高の相性です。
一方、煎茶やほうじ茶は、どら焼きや饅頭といった日常的な和菓子によく合います。
和菓子を一口、そしてお茶を一口飲むことで、口の中がリフレッシュされ、甘みと風味を交互に楽しむことができます。
まとめ
和菓子のマナーは、日本の文化的な「心遣い」の表れです。
黒文字や懐紙の役割、そして種類ごとの食べ方を知っておくことで、どんな場面でも自信を持って和菓子を楽しめるようになります。
美しい作法は、あなたの品格を高め、和菓子を贈る際や、手土産にする際にも役立ちます。
ぜひ、三代目餅屋和平の和菓子をお茶請けに試して、今回学んだマナーを実践してみてください。